総監ブログ

少年野球と学生時代の草野球の経験しかないおじさんが、草野球監督、総監督として楽しくも右往左往する日々

草野球5・・敗れざる者たち・・

ちゃんとした野球はリトルリーグの経験くらいしかないのですが(もっともそのころのリトルがちゃんとしていたかというとそうでもないのですが)
学生時代にどういうわけか草野球チームに入り、今思えば平均年齢30を越えたチームでただ一人若かった私はずいぶん可愛がられた思い出があります。お前は学生だからいいよってことで、お金のかかった覚えがない(笑)ユニフォームは支給、試合後の飯代お茶代ビール代はほとんど出してもらっていたように記憶しています。
とにかく走れる、(昔は足は速かったのだ)バッティングも(ほとんど足でかせいでましたが)よいということで3番セカンドかセンター、ファーストで数少なかった試合には先発出場・・1年目のシーズンはなんと本塁打王盗塁王でした。 ところが翌シーズンは絶不調・・で不運な当りも続きスランプに落ち、とうとう7番に降格・・監督は、出塁率がいいから気にするなといっていたのですが、自分で申し出て下げてもらいました。 ところが野球というのは不思議なもので、チームにとって大事な試合のとき、序盤で大量リードされた我がチームは、いつものチームらしくなく(笑)ねばりにねばりじりじりと追撃をはじめて最終回とうとう1点差に詰め寄り、ツーアウト2塁3塁でバッター6番・・正直ここで決めてくれ、と私は祈りました。 そこでなんとフォアボール。 とうとう打順が廻ってきてしまい、不調の私もさすがにねばりにねばってカウント2−3 投球数は九球目か十球目のラストボール 微妙な判定ではありましたが、見逃し三振。
 あーっ、やっちゃった!
このときばかりは、めちゃくちゃ落ち込みましたね。とにかくラストボールに手がでなかった自分が情けない。微妙なボールに一瞬気が引けた。(フォアボールで同点が頭をよぎり一瞬迷いがでた)ここまで盛り上がったチームに申し訳ない。敗戦は自分のせいだ。・・・チームやめようか・・・事実しばらく休んだ覚えがありますね。 今思うと情けない(笑)
野球をやっている以上だれしも似たような経験はあるでしょうし、避けて通るわけにはいかない。 これが野球の面白いところでもあり、怖いところでもあるわけですね。 いわくあいつのエラーで負けた、あんなクソボールで三振したあいつのせいで負けた。 試合をドタキャンしたあいつが悪い。 

それから30年、まったく縁のなかった野球ですが、何の因果か草野球チームの監督になり、メンバーが足らなければ出場していたチームが休止して、またもや呼ばれて草野球チームの総監督になっています。野球の神様は私を見放していないらしい。
監督をしていて、30年前の自分とまったく同じ局面に公式戦(!)でぶつかったことがありました。 バッターは顔面真っ白、足はかすかに震えています。 そんなオーバーな、甲子園じゃあるまいし・・・と思うなかれ、たとえ草野球でも初めての公式戦となれば、勝ち負けを一身に背負い、チームの勝利への思いをしょった彼の心中ただならざりし事察するに余りあり・・といったところでしょう。
私は彼にこう告げましたねー、ここで自分のベストバッティングをしようと思うなよ。
とにかく逃げずにバットにあてろ。結果は天のみぞ知る。今日の試合の収穫はお前のこの経験だからな。  ・・・これは、悪い結果がでてから言える言葉ではないのですね。 言っても慰めにもならない、あとの祭りです。
結果・・痛烈なサードゴロでゲームセット、チームは敗れました。
本人は悔しがっていましたが、(バッターボックスに入る前はとてもバッティングできる状態ではなかったのです)落ち込んではいなかったですね。 監督!次は絶対打ちます!・・・とりあえずいい当たりだったから、次はヒットになるかもな・・・
他のメンバーも・・惜しかったなー。負けた気がしない。 結構盛り上ってしまいました。 あそこでおれがこうしてれば勝てた、いやいやおれもあそこでこうだった・・
そういうことです。 野球はどんな試合でもひとつのプレーで勝敗が決するものではないのです。 様々な局面とプレーの累積があって試合が成り立つのですね。
勝ち負けは、それぞれの局面の様々なプレーが要因として関連しあいその結果として勝敗が導き出されるものなのです。
監督をやって、見えなかったものを神様が見せてくれたのでしょう。
30年前の監督はきっとこう思っていたでしょう。

お前のせいで負けたなんぞと思い上がるなよ。
思えば野球に縁があって、30年近く離れていた野球の誘いを断らなかったのは、あの見逃し三振があるからという気がしますね。
何かモヤモヤしたものがある・・あのままでは終われない・・オーバーかも知れませんが、歳甲斐もなくどっかにそんなような気が未だにあるらしい。(笑)
負けても負けても、それを放棄しなければ敗者になることはない。
放棄しないのは、自分が終わったと思っていないから。

チームのあるメンバーいわく
自分が総監の年齢になって、自分らの年代のチームでああいう成績は残せませんよ。 多分無理です。
(・・・充分借りは返してるって事か?)
 ・・・オレを引退させる気か(笑)

30年前の後日、シーズン最終戦で快心の当りではないサヨナラランニングホーマーを打ったときに思いましたね。 借りを返すチャンスは必ずめぐってくるが、黙って見逃したら何ににもならない。(笑)
あの当りでは、あの三振は帳消しにならない。

そうそう、お前のおかげで勝ったなんぞと思い上がるなよ。

このネタは2006年のもの